おせち料理は一年の始まりに食卓に並ぶ「ハレの日」の料理です。年の瀬に選び抜いた食材を大切に、丁寧に調理して、美しく盛り合わせて重箱に収め、家族がともに食べる、日本の伝統料理のひとつなのです。そのメニューにはさまざまな意味がこもっています。田作りにはその名の通り「田を作る=米を作る」ことから五穀豊穣、豊作祈願を象徴しています。
手間をかけてつややかに煮た黒豆は邪気を払い、無病息災を祈っています。たたき牛蒡は、牛蒡のように地中深く根を張ってその土地にしっかりと根付いて生きるように、という願いが込められています。また、数の子は「卵が多い」ことから子宝・子孫繁栄の思いを込めた縁起物として食べられてきました。紅白の蒲鉾はその彩りから縁起が良いとされていること、また、赤は魔除けを、白は神聖を表しているとも言われています。
このように様々な思いを込めたおせち料理を、日本の主婦たちは年末の忙しい時にも関わらず手間を惜しむことなく作り続けてきましたが、それはお正月の三日間だけでも主婦が台所に立つ手間を少しでも省いてゆっくり過ごせるように、という思いやりの一つの形の表れであるとも言われています。冷蔵の手段が乏しかった時代にも美味しく食べられるものが並ぶ贅沢の象徴でもあったのです。しかし時代が流れ、今は主婦と言えども職業を持ち、年末年始も忙しい、そんな世帯も増えました。その隙間を埋めるようにさまざまなおせちがデパートやホテルなどにプロデュースされ、食卓に上るようにもなりました。
作っても買っても家族みんなで囲むお正月の食卓の象徴であるおせち料理は、今もってなお「家族がハッピーでありますように」という様々な思いやりのこもった食べ物なのです。おせちのことならこちら